入浴

入浴の効用

毎日の入浴は、大切な生活の一部です。適切な入浴は、心身の疲労をとり、代謝を上げ、リラックスするのに大変効果があります。

入浴によって血行とリンパの循環が良くなるため、全身の機能が高まります。肩・腰などの筋肉疲労、高血圧などが改善され、心臓・胃腸・肝臓・腎臓などの機能も上がります。自律神経と内分泌腺(ホルモン分泌)の機能が上がり、バランスが整ってきます。全身の調節をする脳幹の循環が良くなり、自律神経・ホルモンが安定してきます。

近年の研究によると、全身が温まると体内のシャペロンタンパク質(ヒートショックプロテイン・HSP)が増加するといわれています。HSPが増えると、疲労や病気の回復が早くなります。また皮膚がきれいになる効果もあります。

 

入浴のタイミング

入浴は、適切なタイミングがあります。食事の直後で胃に食物が一杯の時に入浴すると、全身の血行が盛んになり血液が消化器に十分供給できなくなるので消化の妨げになります。食後の入浴は1時間以上後にすることです。また入浴後に食事を摂る場合は、同じ理由で30分位間をおくことが必要です。

食後すぐに運動することも、運動直後に食事をすることも、また消化不良の原因になります。

極端な空腹時や、極端に疲労している時は入浴を避けましょう。脳貧血をおこしてケガをする怖れがあります。

 

湯温

湯の温度は、リラックスが目的なら38~39℃くらいのぬるめの湯、リフレッシュが目的なら42~43℃くらいの熱めが効果的です。通常は、40~41℃位が適切な湯温です。

年齢、体質、体調、季節など条件の違いによって、適温は違います。基本的には快適に感じる温度が、その時その人にとっての適温です。

子供と大人では、適正温度が大きく違います。子供は、大人よりぬるめの温度に設定します。乳児の場合は、かなりぬるめが適正温度になります。季節によっても違います。乳児の適温は38~40℃位ですが湯温計で測るのは不可です。湯温計のほとんどは、1~3℃の誤差があります。母親が自分の手を肘まで入れて、体感温度でチェックします。

高齢者は皮膚の知覚神経が鈍麻していることが多いので、家族の方が適温を調整するとよいでしょう。それができない場合は、初めにぬる湯に入って徐々に温度を上げていくとよいでしょう。さら湯は刺激が強いので、高齢者は他の人の後から入るのが無難です。

 

水道水の塩素

水道水に含まれている塩素は、温度を上げると気化します。浴そうに湯を入れると、気化した塩素が浴室内に充満し、これを呼吸器から体内に取りこんでしまうことになります。塩素が体内に入ると活性酸素が発生し、様々な障害の原因になるおそれがあります。

給湯のときには、浴室の窓を全開するか換気扇を回しておくのが良いでしょう。また、果物や野菜くずなどをネットに入れて、先に浴そうに入れておくと塩素が中和されます。果物の皮や野菜に含まれるビタミンCが、塩素と結合して無害な物質に変化します。粉末のビタミンC小さじ一杯を湯中に入れても同様の効果があります。

 

入浴の注意点 

浴室で使う石けんは、無添加固形のシンプルなものが安全です。一般の洗髪用シャンプー、ボディシャンプーには、有害な化学合成界面活性剤が含まれています。この物質は細胞の核にまで侵入してDNAを傷つけ、ガンや異常児の重大な原因になります。さらに肝臓が機能低下し、血液質の質が悪くなります。

食生活が良い人は、湯に浸かるだけで皮膚の汚れは落ちます。皮膚には角質層が10~30枚あり、その1枚1枚の間は薄い油膜(細胞間脂質)で充たされており、柔軟性と水分を保っています。湯が浸透して軟らかくなっている皮膚を強くこすると、角層ははがれ落ちて薄くなり、傷みます。皮膚は、かるく手の平でこする程度で汚れは十分落ちます。角質層が薄くもろくなると、内部組織が傷んで炎症やシワ・シミの大きな原因にもなります。

発熱時は体温調節機能が低下しているので、どんな場合でも入浴はさけるべきです。入浴により全身の血行が盛んになって湯からあがると、急速に体温が下がって免疫力が一時的に低下し、病状が悪化することがあります。風邪などの場合は、肺炎に発展する怖れがあります。

アルコールを飲んだ後は一気に血圧が上がるので危険です。

半身浴は、やり方を間違えると危険です。半身浴で下半身を温めると、全身の血行が盛んになり冷え性の改善や循環器の機能が高まるといわています。熱めの風呂で下半身を長時間温めていると腸内が温まってきます。大腸は、37.2℃を超えると内部で腐敗が起こります。とくに腸内に肉、魚、卵、乳製品、大豆加工品などタンパク質が多く入っている時に腐敗を起こすと、強力な毒性物質を発生します。この物質は腸から吸収され全身に運ばれて、いたるところで障害を起こします。半身浴を長期間続けると、重大な病気をおこす危険性があります。一方、座浴(干葉湯)の場合は湯に浸かるのが骨盤までなので安全であり大きな効果が得られます。

 

効果的な入浴法

湯から上がる時に、シャワーで水を数秒かけて皮膚に冷刺激を与えると保温効果が高まります。さらに副腎機能が向上し、自律神経のバランスが整い、免疫力が上がり、自己治癒力が高まります。

身体の深部まで十分温まってから、そのまま上がると害が現れることがあります。全身がよく温まると、ほとんどの関節が弛緩しています。その状態で動き回ると、脊柱、骨盤、ひざ、足首などに負荷がかかり関節の故障をおこすことがあります。関節の故障は、時として内臓や神経系にまで影響をおよぼします。その弛緩している関節に冷刺激を与えると、瞬間に筋肉や靭帯をはじめ体組織が収縮して元の状態に戻ります。その後に動くのは問題ありません。

湯の温刺激と水の冷刺激を交互に繰り返すと、血行と代謝が活発化して高い健康効果が得られます。この場合も、必ず最後に冷刺激を加えて組織を締め身体全体を元に戻しておくことが必要です。

賢い入浴は、健康の基です。