なぜ食事が大切か
人が食物をとるのは、生きるためのエネルギーと体をつくる素材を補うためです。食物の質は、生命活動を大きく左右します。
食物の質が悪いと、体内のエネルギー代謝が円滑に進まず、十分な体力が得られません。質の悪い食物を素材にして体細胞をつくれば、体質は悪化していきます。そして自律神経系、ホルモン系が乱れて、体調を崩します。さらに脳細胞まで質が悪くなり、その影響は精神にまで及びます。その結果、心身の不調和を生じて快適な生活ができなくなります。
本来、人は体が必要な時、必要なものを、必要な量だけ食べれば満足できるよう自動コントロールの設定ができています。その設定どおりに機能していれば、常に完璧な食生活ができて、自然に健康が維持できるものです。ところが現代人には、健康な人はほとんどいません。現代人の摂食センサーは、エラーを起こしているのです。そのため体に悪いものでも食べ、体が必要としてなくても食べたくなり、必要以上に多く食べることになります。その結果、様々な病気につながっていきます。
身体に悪いものでもおいしく食べられ、体は栄養を必要としていなくても食欲がわいたりするのは、摂食中枢が狂っているためです。摂食中枢が正常に回復するまでは、正しい知識によって、自らの意思で食事を正していかなければ健康になることはできません。心身の健康がないかぎり、いつまでも様々なトラブルが現れて、決して幸せになることはできません。そして最後は悲惨なことになるのです。
老廃物…あらゆる病気の元凶
食物を食べると、体内では消化器から肝臓にいたるまでに、分解(消化)、吸収、処理が行われて全身の器官に送られていきます。その栄養成分によって生命が維持されます。ところがこの一連の過程(代謝)が少しでも円滑に進まないことがあると、たちまち栄養素は滞ったり、変性を起こして害を及ぼします。
特にたんぱく質や脂質が酸化や変性を起こすと、水に溶けない厄介な物質(不溶性物質)になります。さらに少しでも糖質(ブドウ糖など)が過剰になると、変性物質と結合します。こうなると臓器や他の器官に蓄積します。不溶性の老廃物は、結合組織(細胞同士を結び付けるもの・コラーゲン繊維など)の中に蓄積していきます。すると細胞には栄養素や酸素が行き渡らなくなり、やがて機能が落ちてゆき、慢性炎症に発展していきます。慢性炎症は、大部分の生活習慣病の原因となります。
質の悪い食物は、円滑な処理ができずに老廃物という有害物質に変わることが、多くなります。体内に老廃物がたまると、身体機能が下がってますます食物の処理が不完全になり、悪循環が起こります。
老廃物とは
摂り入れた栄養素が不完全処理のまま栄養として利用されずに余ったものや、様々に変性して体外に排泄しきれない物質が器官内に蓄積したものなどを、老廃物といいます。
タンパク質や油脂類は、体内でこれを処理するとき臓器に大きな負担がかかります。なぜならこれらの物質は、完成品であるため一度細分化してからでなければ栄養素として使えません。そのため体内に入ると、消化器から肝臓にいたる過程で最小単位にまで分解されます。タンパク質はアミノ酸に、油脂は脂肪酸に分解されて再合成されます。タンパク質や油脂は完成品ですから、体内リサイクルです。有機質は、リサイクルされるたびに劣化します。劣化した素材で細胞をつくれば、その結果は体内器官が劣化していくことになります。
それ以上に問題なのは、体細胞になれなかった部分が変性して器官内に蓄積することです。蓄積がエスカレートすると、体の障害となって人を苦しめられることになります。日々体内で発生する老廃物を完全に排出しきらなければ、健康な体は維持できません。
様々な老廃物
老は物の代表は、AGE(最終糖化産物)やAβ(アミロイドβタンパク)などです。AGEは、体中で細胞を老化させ機能低下を起こします。Aβは、脳にたまって認知症や脳梗塞などを引き起こします。
また毎日の代謝で分解される古い細胞は、5000~7000億個になります。これらの分解産物は、尿素、尿酸、二酸化炭素などに分解されて、腎臓から排泄されます。ところが、これらの物質が完全に分解されないと、大きな分子の老廃物となります。
食べた食物が不完全処理の状態で老廃物になったものの他に、体内では多くの有害物質が発生します。
タンパク質が使い切れずに余剰分となったものが排出され切らなければ、尿素、尿酸、クレアチニンなどが血液中に増加して、疲労や炎症を起こします。そこまで分解される前に酸
化や変性を起こすと、AGEやAβになりさらに悪化して重大な事態を起こします。
脂質が使い切れずに滞ると、悪玉コレステロール、中性脂肪、ケトン体などが増加して、次々と障害が進行していきます。特に動脈の内壁に付着して、ここに多くの老廃物が重なっていくと血流障害や動脈硬化を起こします。これらの蓄積老廃物を分解処理するために、マクロファージ(白血球)が大量に老廃物を吸収して死滅すると、これもまた老廃物になります。そして、脳や心臓の重大な病気に発展します。
腸内では、質の悪い食物や過剰摂取した食物が不完全処理の状態で様々な有害物質に変化します。特にタンパク質と油脂は、毒性の強い物質に変化します。デヒドセコール酸、リトコール酸、インドール、スカト-ル、メタン、硫化水素、アンモニア、プトマインなどです。このうちアンモニアとプトマインは毒物です。これらの有害物質は、腸内を痛めつけた後、全部が肝臓に送られダメージを与えます。これが長く続けば、あらゆる病気を発生させる最大の因となります。
諸悪の根源… 精製糖
精製糖とは、グラニュー糖、白砂糖、粗目、氷砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、オリゴ糖、還元糖など純粋な糖質にしたものです。
精製糖に共通するのは、強陰性の作用によって細胞を弛緩させ、全身の器官の機能を低下させます。さらにビタミン、ミネラルなどを無駄に消費し、栄養のバランスを崩します。そして老廃物を体内に増やします。
体内に糖質が過剰になると、コラーゲンをはじめすべての細胞がもろくなり炎症を起こしやすくなります。細胞同士を結び付けて体内器官を保っている結合組織の大部分は、コラーゲンでできています。このコラーゲンが、過剰な糖質によって硬くもろくなると、組織は壊れやすくなります。
一般にてんさい糖やきび糖は良いといわれていますが、砂糖のほとんどの材料はこの2つです。問題は、精製の度合いと添加物の有無です。砂糖は、精製度によって黒砂糖、粗製糖、三温糖、ショ糖、グラニュー糖など色々です。砂糖は自然な製法で作られ、精製度が低く、無添加の黒砂糖、粗製糖が安全です。
精製塩
精製された純度の高い食塩(精製化学塩)は、99%が塩化ナトリウムです。人が食べる本来の食用塩は、88種類のミネラルすべてが含まれた総合ミネラル食品です。塩化ナトリウムのみの精製塩は、人体に入れると体内のミネラルバランスを大幅に狂わせます。
ミネラルは、栄養のベースといえるほど重要な栄養素です。一つでも過不足があれば、体全体が狂ってしまいます。場合によっては、生命に関わることもあります。
ミネラルは食物から摂り入れるのが基本ですが、地上で収穫される作物はミネラルバランスが不完全です。したがってコンスタントにミネラルの補充が必要です。ミネラルは、主に塩、味噌、醤油などの調味料として様々な形で摂取されますが、使われている塩がすべて精製塩だとしたらミネラルバランスは大きく崩れます。
精製穀類
現代人の多くは、白米、白麦、精白小麦粉など、精製された穀類を食べています。穀類は精製すればするほど、栄養価が低下します。特に大半のビタミン類が失われます。しかも精製の直後から栄養素が変性していきます。脂質は、変性して有害物質に変わることもあります。その上、穀類の表面には目に見えない微細な有毒カビが大量に発生します。このような物を毎日食べ続けると栄養バランスを崩すだけでなく、カビの毒により腸内環境が乱れて善玉菌が減ってしまいます。
化学調味料
化学調味料は、市販のほとんどの加工食品に使われています。化学調味料は、純粋なアミノ酸で構成されています。化学合成のアミノ酸(主にグルタミン酸)を体内に入れると、異物として分解、解毒、排泄の処理をしなければなりません。ところが処理を完全に行うことができず、変性した状態で器官に蓄積して様々な病気の原因となります。
グルタミン酸は脳の栄養素のため、脳内に侵入します。天然系と異なるグルタミン酸が脳内に侵入すると、大半は消費されず老廃物となり認知症など脳障害の原因になります。
一度に多量に摂ると、急性中毒症状を起こすことがあります。ラーメン1杯で、許容量を超えてしまいます。
加工食品
不自然に加工された食品には、多種多量の化学物質が含まれています。添加される物質は、すべて有害なものです。微量であればいいというものではありません。多種類の物質が複合して作用すると、予測できない強い毒性をもつようになることもあります。化学物質の共通点は、肝臓にダメージを与えることと、活性酸素を増加させることです。
特に、インスタント食品、練り製品(ハム、ソーセージなど)、清涼飲料(化学物質で作られた飲み物:ジュース、コーラ、スポーツドリンクなど)、甘い菓子類などは多量の化学物質が入っています。
農薬農産物
化学肥料を多量に使い、何度も農薬をかけた農産物は、血液の質を悪化させます。このような穀類や野菜などは、含まれる栄養素の量が少なくバランスも悪い粗悪なものになっています。
特に果物やお茶などは、数十回もの農薬がかけられています。そのほとんどは、神経毒のネオニコチノイド系の殺虫剤です。この農薬は、脳や神経細胞の障害を起こします。除草剤などは、遺伝子の障害を起こしてガンや難病の原因となります。
やっかいなことに、日本の空気には様々な農薬が含まれており、現代人は毎日汚染空気を吸って生活しています。
今後ますます脳が狂った人や、認知症の人が増加していく重大な原因となります。
動物食品
肉、魚、牛乳など動物食品は、栄養素とともに不要な物質を多く含んでいます。含まれる不要物質は体内で処理しきれず、有害物質となって徐々に蓄積していきます。
動物食品に含まれる物質からできる老廃物はタンパク質と脂質が多いため、AGEやAβになりやすく、老化や難病の原因になります。
さらに近年、魚介類に限界を超えたダイオキシンが含まれていることが明らかになりました。ダイオキシンは、最強の発がん物質です。
現在市販されている牛乳は、加工乳です。健康な乳牛が、自然の中で無理なく分泌した牛乳を加熱殺菌もせずそのまま飲むのであれば大きな問題はないでしょうが、そこまでして摂るべき食物でもないでしょう。
卵は、単細胞ですから食べても体内処理がスムーズです。したがって健康な鶏の卵は、大きな問題ないでしょう。しかしアレルギー体質の場合は、卵も牛乳も飲むことはやめるべきです。
病気の人が避けるべき食物
病気治癒を最短期間で望むなら、以下の食物はできるだけ避けた方が改善を早くします。
病気がある場合は、代謝が低下しているため処理能力が衰えています。したがって身体負荷
を最小限にしなければなりません。
強陰性食物……果物、ナス、トマト、ジャガイモ、ピーマン、香辛料
グルテン(大豆・小麦)加工品……豆乳、豆腐、高野豆腐、湯葉、きな粉、油揚げ
がんもどき(ひりょうず)、厚揚げ、麩、生麩、せいたん、乾燥グルテン
一般サプリメント……健康食品、健康飲料、ドリンク剤
外食で食べる物……特にファミレス、回転ずし、コンビニ 等
アルコール飲料……酒、焼酎、ウィスキー、ブランデー、ワイン、発泡酒 等
その他……酸化したごま塩、酸化した鉄火みそ、ふりかけ(油脂を使った物)、
野菜スープ、野菜ジュース
時間が経って酸化、カビ、変性のおそれがある物
特に暖かい所で長時間経過した物