運動

動くことの重要性 <生涯現役のために>

人は動かなければ退化する

人体は、適度に動くことによって身体各器官が健全に働くようにできています。人はどんなに健康的な生活をしているつもりでも、ジッとして動かなければ体は退化し、脳から臓器まで全身器官の機能が衰えます。

血液とリンパ液は動かなくても最小限は流れますが、体を動かすことによって十分流れます。筋肉、間接、骨、心臓などは、動いてある程度の負荷をかけないと、廃用性萎縮(使わない器官は退化)になり機能が低下します。

若い身体は柔軟で代謝も活発なため、動かなくてもある程度は循環します。しかし、年齢を重ねるにしたがい循環が悪くなってきます。特にリンパ液は、適度な筋肉の動きがなければ極端に流れが悪くなります。リンパ管は、自動運動ができないため筋肉の伸縮活動によって流れるようにできています。リンパ液の流れが滞ると、全身に老廃物や毒素が蓄積して疲労や病気にかかりやすくなり、老化が急速に進みます。したがって若い時より高齢になるほど、運動が必要です。ところが大半の人は、高齢になるほど動くことが少なくなって老化が急速に進むようになります。

健康のための運動は、競技のための運動とは異なります。硬くなった身体で道具を持ってムリな動き方をすると、筋肉や関節を傷めたり、骨盤や脊柱に歪みを生じることがあります。骨格の歪みは、病気や老化の大きな原因になります。ウォーキング、ジョギング、水泳、ゴルフ、テニスなども、ムリをせず、軽く楽しく行えば、健康的な運動になります。

自然で健康的な運動は、特別なスポーツなどではなく、日常の動きを積極的に心がけるだけで十分なバランスの良い運動になります。立ったり座ったり、物を持って動いたり、階段を上がったり降りたり、日常の何気ない動きをスピーディに行うことで自然に適度なバランス運動になります。そして、こまめによく動くことです。こまめにスピーディに動くことを習慣にすると、日常生活が自然に適度な運動になります。特にシニア世代は、動くことを習慣化することが重要です。

脳の運動

頭を使うと、脳の活動している部分だけ血流が多くなります。いつも同じところばかり使っていると、その部分の細胞だけが活発に働いて、他の細胞は衰えていきます。このとき血液中に老廃物が多いと、細い血管が詰まって梗塞(血液が詰まって細胞が死滅)を起こすことがあります。小さな梗塞が増加し広がると、認知症が起こります。

脳は、すべての場所をまんべんなく使っていなければ、年とともに退化してしまいます。梗塞による脳の退化を避けるためには、脳に常に良い刺激を与えることが必要です。

脳細胞をバランスよく活動させるには、読む、話す、考える、見る、聞く、歌う、作るなど、できるだけ多様な行動をすることです。特に感情部分を刺激すると、脳細胞は活発に働きます。夢や希望を持ち、好奇心を旺盛にし、感動や笑いを多くし、いつもトキメキを感じる機会を増やします。こういう感情刺激を多くすると、脳から様々な伝達物質が分泌され、身体器官全体の機能も活発になります。

主な脳内分泌物質は、セロトニン、ドーパミン、βエンドルフィン、オキシトシンなどです。これらの脳内物質は心と体を健全にし、楽しい、嬉しいなど明るいプラスの感情が多くなり、体は軽く疲労が減り、病気になることもなくなります。ミスや争いごとも少なくなります。

脳に常に良質な血液を送り、知的刺激と感情刺激を多く与えると脳の回路は増加を続け、脳細胞の新生も起こり機能が向上します。大脳生理学によると、脳はかぎりなく進化・発達を続けていくことが明らかになりました。老化して脳が衰えるのは、心身が健全でない上に脳をあまり使わないためです。

料理は、特に食材選びから栄養、薬効、組み合わせ、調理、盛り合わせ、食べるタイミング、食事環境まで常に工夫しながら楽しく料理をすると、脳全体が活発に働きます。

また身体活動は、肉体だけではなく脳の血液循環も良くするため脳機能を高める効果があります。

生涯現役

人は年を重ねるにしたがって、肉体は衰え頭脳は鈍ってくるのが当たり前で、避けることはできないというのが常識になっています。これは間違った固定観念です。

ほとんどの人は、加齢にしたがって老化現象が起こっている自分の姿が潜在意識の中に強く定着しています。潜在意識の中に強く定着している意識は、そのとおりのことが現実となって現れるのが人の意識のしくみです。その誤った自己像を書き換えないかぎり、人はそのとおりになります。

人は、心身の適切な使い方をしていれば肉体機能は維持され、脳機能はどこまでも発達し続けて生涯衰えることはないということが最新医学で明らかになりました。生涯現役で充実した人生を送るという意識を強くもって生きていくことが重要です。

 

合理的な筋肉保持…アイソメトリックス&ストレッチング

人が日常生活で身体を動かすとき、スムーズな筋肉の動きが必要です。特に、脚、腰、肩、首の筋肉は、体を支え、バランスをとってスムーズに動くために主となる部分です。疲労や老化によって真っ先に疲れや衰えを感じるのは、これらの筋肉です。体内にも筋肉がいたるところにあります。口、舌、食道、胃、腸、心臓、血管など、多くの筋肉によって活動しています。

主要な筋肉を強化しておくことは、疲労や老化の予防のためにも重要なことです。また、転倒など日常のアクシデント、認知症、寝たきりの予防にもつながります。

筋肉を効率よく強化する方法では、アイソメトリックスが特に優れています。短時間で負担が少なく実行できる、合理的なトレーニングです。高齢者でも、楽に簡単に行えます。

また日常生活での筋肉疲労を残さないためには、軽いストレッチングを行うと効果的です。ストレッチングを行うことにより、筋肉内に乳酸が溜まってコリや疲労を起こすのを防ぐことができます。

トレーニングは、入浴中に行うのがベストです。数分で簡単にできます。入浴によって血液循環が盛んになり、筋肉に酸素や栄養素がスムーズに送られるため、筋肉細胞の発達が促進されます。また入浴により十分なウォーミングアップができているので、筋肉に負荷をかけても筋肉細胞を傷めることはありません。さらに入浴後は、体を休めるか眠ることになるため、休息中に筋肉細胞が発達していきます。

アイソメトリックスは、ストレッチとセットで行うことで、相乗効果が高まります。アイソメトリックスにより筋肉組織内の循環と代謝を高め、その後筋肉細胞を適度に伸ばすことによって筋肉は疲労を残さず急速に発達します。

【アイソメトリックスのやり方】

アイソメトリックスの基本は、発達させたい筋肉に70~80%の負荷を7~10秒間一定の強さで持続します。

1日1回で、十分な効果があります。

 

【ストレッチングのやり方】

ストレッチングの基本は、疲労やコリのある筋肉や腱を伸ばすことで組織内の循環を促進して、柔軟で健康な細胞に戻すことです。これによって、腱や筋肉の硬化や炎症を防ぎます。

ほぐしたい筋肉を軽く伸ばして、しばらくその状態を維持します。筋肉の硬化の程度により持続時間は異なりますが、10秒から40秒間伸ばしたままの姿勢を保ちます。

気持ちがいい程度に伸ばすのが、最も効果が上がります。