現代人の生活環境には、危険な化学物質があふれています。生活の中に溶け込んでいるので、不自然な化学物質を意識することもなく暮らしています。大量の化学物質を体内に取り込んでいても気づくことがありません。精神や体の不調があっても、その原因の一部が化学物質にあることを気付かずに過ごしています。
生活環境の中にある化学物質を挙げてみると、次のようなものがあります。
- 化学洗剤
- 室内洗浄剤
- 芳香剤
- 化粧品
- 入浴剤
- 金属調理器
- ラップ
- 水道水
- マイクロプラスチック
- 殺菌・除菌剤・消臭剤・防黴剤・防虫剤・燻蒸剤
- 除草剤
化学洗剤
化学洗剤には分解力、浸透性という共通の特質があり、汚れを効率よく落とすことができます。浴槽用、トイレ用、シンク用、床用など多数の物がありますが、特性は同じです。化学洗剤に含まれる主成分の界面活性剤は、分解力・浸透性が強いため、皮膚から体内に浸透して全身に回ります。そして体内器官の細胞内にまで浸透し徐々にDNAを傷つけていきます。その結果、炎症や遺伝子の障害(癌 等)を起こす怖れがあります。たとえわずかな量とはいえ、長年にわたってダメージを与えられれば、やがて重大な障害を引き起こすことが考えられます。
シャンプー、ボディシャンプーなどにも、同じ界面活性剤が含まれています。
昔の石けんは酸性の汚れをアルカリ性で分解し、油性の汚れは油分で除去するもので破壊作用はなく安全です。
歯磨剤
市販の歯磨剤には、発泡剤(界面活性剤)、フッ素、保存料(殺菌剤)、清掃剤(研磨剤)など多数の化学物質が含まれています。特に発泡剤、フッ素、保存料は、危険性が大きいものです。
フッ素は虫歯予防に有効とされていますが、近年の研究ではカルシウム代謝を狂わせて骨が弱くなる、発癌性など明らかになりました。
殺菌剤・消臭剤・防黴剤
殺菌剤は、家庭内で日常的に使われています。特に新型コロナウイルスが蔓延してから、過剰に消毒が行われるようになりました。
ウイルスや微生物を除去する方法は、その作用が強い順に滅菌、殺菌、除菌、抗菌、静菌、減菌となります。家庭内で使われるものは『除菌剤』といわれる比較的弱い作用の消毒薬が使われます。しかし生物を殺す作用があるものは、人体に与える害は同じです。消臭剤も、除菌剤と同様の性質をもつ化学物質です。
室内のいたる所で除菌・消臭剤を使うため、空気中に含まれた危険物質を常時吸い込んでいます。コロナ蔓延からは、次亜塩素酸などが含まれるアルコール消毒がいたる所で使われています。塩素は呼吸器の粘膜から体内に吸収されて、粘膜細胞は徐々に損傷を起こしてウイルスが侵入しやすくなり、感染しやすくなります。消毒によって逆に感染を広げることになります。
防黴剤は、浴室、トイレ、キッチンなど、湿気が多いカビが発生しやすい所に使われますが、殺菌剤と同様の危険物質です。
防虫剤・燻蒸剤
防虫剤は、クローゼット、たんす、室内空間に使われています。大半の防虫剤は神経毒性があり、脳がダメージを受けます。蚊取り線香、電気蚊取りなどには、多量に殺虫剤が含まれています。
燻蒸剤はダニやゴキブリなどを殺すため、クロロピクリン、イソシアン酸メチル、シアン化水素、フッ化スルフリル、ホルムアルデヒド等強力な殺菌剤が使われます。室内燻蒸を行う時には、しばらく家の外に避難していますが、衣類や布団などに薬剤が残ります。
白蟻駆除剤は強力な毒性があり、長年床下に残留します。この物質は、床下の隙間から徐々に室内にもれてきて、知らずに吸い込んでしまう怖れがあります。
除草剤
除草剤は農業だけではなく、最近は一般家庭でも庭や駐車場の除草に日常的に使われています。除草剤は、短時間で植物の生命を絶つ強力な破壊力があります。人の皮膚に付着すると、体内に浸透して全身を回り遺伝子が損傷して癌を引き起こす怖れがあります。口から直接入れば、わずかな量でも死にいたります。
芳香剤(化学香料)
天然の香気物質は、リラックス作用や自律神経安定作用があり、健康に良い効果をもたらします。嗅覚器官から入る物質の刺激は脳にダイレクトに伝わり、精神、自律神経、内分泌などに影響を与えます。心地よく感じる香気は良い効果をもたらしますが、化学香料は不快に感じる人も多くいます。知覚神経が敏感な人は、心身に不調をきたすことがあります。
化学香料は、良い香りと感じる場合でも脳・神経系にはマイナスに作用します。生活環境中にあるほとんどの香料は、化学香料です。
化粧品
一般の化粧品は、ほとんどが化学物質で作られています。中でも、色素、油脂、防腐剤、界面活性剤、乳化剤などは、体内に入れば異物として処理しなければなりません。皮膚や肝臓には負荷がかかりダメージを受けます。特に、口紅、クレンジングクリーム、栄養クリーム、UVクリーム、リップクリーム、化粧下地などは、危険性が大きいものです。
化粧品を使う場合は、原料が自然素材で不自然加工を加えていないものを選ぶことです。
入浴剤
入浴剤には、重曹(炭酸水素ナトリウム)、乳化剤、殺菌剤、プロピレングリコール、着色料、香料などが含まれています。殺菌剤、プロピレングリコール、着色剤などは、皮膚から体内に浸透すると障害を起こす怖れがあります。
入浴剤を使うなら、重曹、ハーブ、果物、野菜など天然物が安全で効果的です。これらものは、血行促進や肌をきれいにする作用があります。
金属調理器
金属は、水、油、酸、塩分に触れると溶解して単体のイオンになり、体内に入ると様々な物質と結合し反応を起こします。鉄イオンは、ビタミンCを破壊します。クロムイオンは発癌性、アルミニウムイオンは脳機能にダメージ、ニッケルイオンは発癌性という問題があります。何が触れても溶けることがない、セラミック、陶器、ガラス、ホーローが安全です。
ラップ
キッチンで多用されるラップは、硬質のプラスチックと違い柔軟にするため有害な添加物を多量に加えています。柔軟剤(脂肪酸誘導体)、安定剤(エポキシ化油脂)などを化合することによって、軟らかく張り付きやすくなります。ところがこの添加物は溶け出しやすく、包んだ食品に浸透し一緒に口に入ってしまいます。
水道水
水道水は、浄水場で殺菌するために次亜塩素酸ナトリウムを入れています。この塩素化合物は、家庭の蛇口から出る水道水に残留しています。塩素はわずかな量でも体内に入ると、強力な酸化作用で細胞にダメージを与えます。また、トリハロメタン、有機フッ素化合物(PFAS)などの発癌物質が含まれることもあります。安全な水道水にするためには浄水器を使うことが賢明ですが、安全で高機能の浄水器を選ばなければなりません。
浄水器は、天然素材のみのろ材で造られており、銀コーティングなどの加工を加えていないものが適しています。そして有害物質の除去能力が高く、水の性質が自然な湧水に近い水になるものが良質です。
マイクロプラスチック
マイクロプラスチックは、ごみとして捨てられたプラスチック製品が、経年変化で劣化し変性して微細な粒子となって環境中に分散しているものです。空気中に混入しているマイクロプラスチックは、呼吸とともに吸い込んでしまうことがあります。海水中に混入しているマイクロプラスチックは、魚が餌とともに食べて体内に蓄積し、これらの魚介類を食べる人の体内に侵入してきます。体内に蓄積したプラスチックは、徐々に溶け出して障害を与える怖れがあるので問題になっています。
マイクロプラスチックのような粒子は、通常は腸で吸収されることなく便とともに排泄されます。食物の消化吸収の過程では、栄養素は腸内で最小単位の分子に分解されてから吸収されます。ところが現代人は、アレルギー体質により腸の機能が低下している人が増加しおり、腸が本来吸収してはいけない大きな物質も吸収してしまうような状態になっている人がいます。こういう腸の人は、マイクロプラスチックを吸収してしまうことがあります。アレルギー体質の人はこれを改善しなければなりませんが、マイクロプラスチックを取り込まないよう注意することも必要でしょう。