飲・食

梅干を食べよう

梅の効用

梅はバラ科の果樹であり、桜、ビワ、桃、アンズ、スモモ(プラム)、リンゴ、ナシ、ボケ、キイチゴ、ヤマブキなどと同種です。世界に、3000種があり、このうち、梅と同種が、350種あります。暖帯地に多い落葉小喬木で、高さ5~10mになります。花を観賞するための花梅と、食用にする実梅に分類されます。

梅の原産地は、中国の江南地方(四川省、湖北省)の高地といわれています。梅は、奈良朝の頃に中国から渡来し移植されたという説が、有力です。日本にも、もともと自生していたという説もあり、宮崎、大分、山梨には、野生の原種が自生しています。

梅は、東洋でもっとも古い歴史のある果樹で、中国では3000年前の「神農本草経」に薬としての記述が見られます。日本では、縄文時代の地層から梅の種が発見されました。この時代の日本人は、すでに梅を何らかの形で食べていたようです。

梅干が最初に書物に書かれたのは、平安時代・中期です。村上天皇が病気の時に梅干で回復したことが記されています。このころの梅干は、現在のものと違い、梅の塩漬けだったようです。シソの葉を使って色づけをするようになったのは江戸時代・後期で、このころから赤い現在のような梅干ができてきました。その後、品種改良が進み、多種の梅ができるようになりました。

江戸時代には、梅肉エキスをはじめ、梅酒、多くの梅加工品などが作り出されました。この時代は梅が庶民の間に広がり、様々な健康法として活用されていました。

梅干の効能

血液浄化、疲労回復、殺菌、高血圧、動脈硬化、首こり、肩こり、腰こり、食欲不振、
口角炎、口唇炎、口内炎、胃炎、胃潰瘍、腸炎、下痢、便秘、痔、風邪、老化防止、
食中毒、疫痢、チフス、コレラなど消化器感染症
二日酔い、乗り物酔い※ストロンチウム90(放射性物質)の吸収阻止、骨に沈着したものを排除
※シソ…精神安定作用、免疫システム改善

梅干の栄養素・有効成分

有機酸……クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、乳酸
ミネラル……ナトリウム、カルシウム、リン、カリウム、マグネシウム、鉄、ケイ素、
ホウ素、バリウム、チタン、リチウム、銅、亜鉛、バナジウム
シトステロール、オレアノリック酸、セリールアルコール
※シソの成分…アントシアニン(シソニン、ペリラニン)

梅の成分の何が効力を発揮しているのかは、現在分かっている成分だけでは説明がつきません。まだ分析できていない多くの成分の相乗作用で効能が現れるものと思われます。
これからの暑い季節、熱中症や食中毒の予防に、梅干を毎日食べる習慣にすると良いでしょう。
外出時には梅干を携帯すると、身体トラブルの予防やけがや毒虫刺されの応急手当ができます。

梅干手当法

◇胃腸の不快感、吐き気、痛みなどの時には、中くらいの梅干を食べる
◇頭痛……こめかみに梅干の果肉を塗る
◇水虫……患部に梅干を塗る
◇皮膚のかゆみ、湿疹、じんましん、かぶれ、あせも……梅干の果肉を水に溶いて塗る
◇打撲、ねんざ、毒虫刺されなどには梅干の果肉を塗る