栄養とは
栄養とは、呼吸、運動、消化吸収、排泄など生命活動に必要な物質を外界から摂取し、その物質を体内で利用し、不要な物を排泄し生命を維持していくことです。摂取される物質(食物)の個々の成分を、栄養素といいます。人の生命活動に必要な栄養素は、幼児から高齢者まで基本は同じです。
第一に必要なものは、水と補助成分のミネラルです。不足や過剰などでバランスがくずれると生命の維持に関わります。
第二に必要なものは、エネルギー源となる糖質(炭水化物)と補助成分としてのビタミンです。タンパク質と脂質もエネルギー源となりますが、燃焼効率が悪く老廃物を多く産生するので適切なエネルギー源とは言えません。
第三に必要なものは、体を造る主な成分としてタンパク質と脂質です。体の主な構成物質ですが、体内で十分生成されます。しかし現代栄養学では、体内生成ができないので外部から摂り入れなければならないとされています。これは誤りであり、人は菜食動物と同様に体内で生成することができるのです。
水
水は体内のあらゆるところに存在しており、生命活動のすべてに深く関与しています。植物、微生物、動物、人にいたるまで、あらゆる生物の生命を維持するために、なくてはならない重要なものです。水は生命の源です。
体内で営まれる分解、吸収、同化、循環、燃焼、排泄など、化学的・物理的活動(生命活動)は、すべて水の助けを借りて行われます。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚などの感覚器官も、水を介して感じることができます。栄養素や老廃物は、水を介して運搬されます。また、血液中に満たされた水が熱の運搬を行い、体温が調節されます。細胞の内外の体内環境を一定に保つためにも、水が調節を行っています。体の各器官を常に一定の形に保つため、水が構成要素として重要な存在になります。
ミネラル
ミネラルは、水とともに生命を支える重要な栄養素です。体内に存在するミネラルは、全体で体重の4.35%ほどのわずかな量ですが、重要な機能を持っています。ミネラルは、有機物を形成する元素である炭素、酸素、水素、窒素を除く他のすべての元素を指します。
ミネラルは元素であるため、体内で合成することができません。したがって、常に食物から摂取しなければなりません。
糖質(炭水化物)
人が生きていくための生命活動には、主に植物によってつくられた有機物に蓄えられているエネルギーが使われます。
主なエネルギー源としては、糖質(でんぷん等)が利用されますが、糖質が不足したときには脂質やタンパク質が使われることがあります。
食物として摂り入れられた糖質は、小腸で分解されブドウ糖になり吸収されます。吸収されて血液中に入ったブドウ糖は全身の細胞に運ばれ、細胞内部で分解されエネルギーを放出します。この時ブドウ糖の分解には、酵素の助けが必要です。酵素が働くためには、補酵素と呼ばれるビタミンが必要になります。そこに酸素が加わってブドウ糖が分解される過程でエネルギーが放出されます。炭素の化合物であるブドウ糖が酸化して分解するので、この現象を燃焼といいます。
ブドウ糖が不足して脂質やタンパク質が分解され、エネルギーに変換される場合は、効率が悪くなおかつ多量の老廃物を生み出します。老廃物は、老化進める元凶です。
ビタミン
ビタミンは、ブドウ糖が燃焼する時に触媒として作用する酵素の作用を助ける補酵素として働きます。ビタミンが不足すると、エネルギー代謝がスムーズに行われないので体力が落ち、疲労が回復しにくくなります。
ビタミンは、細胞の機能を正常に保ち、免疫機能を高め、活性酸素除去など多くの生命活動で必要な栄養素です。
タンパク質
タンパク質は体を造る主な成分であり、水分を除いた成分の75%をタンパク質がしめています。
人の体は、構造を保持するコラーゲン、筋肉、骨格など、生命活動において働く赤血球、酵素、ホルモンなど、体を守る白血球(免疫細胞)、抗体(免疫グロブリン)など大部分はタンパク質によって造られています。
タンパク質は、体内でも合成されています。食物は、消化されて腸壁から吸収される段階で多くはタンパク質に変化します。栄養素は単体にまで分解され、絨毛細胞を通り血管内に入って肝臓に運ばれ、ここで処理され構造が変えられます。一部の栄養素は、小腸壁の絨毛細胞に同化して血管内に移動し血液細胞の元になります。この過程ですでにタンパク質に変化しています。
大腸内でも、腸内菌によって良質タンパクがつくられています。腸内菌は、大腸内で活発に新旧交代しています。新しい腸内菌に多量に含まれている良質タンパクと、ビタミン、酵素が多量に放出されます。
脂質
脂質には、組織の構成成分となる複合脂質、細胞膜やホルモンの素材となる誘導脂質、エネルギー源として使われる単純脂質の3種類があります。
複合脂質は、脳や神経細胞の細胞膜の素材として重要な機能をもっています。誘導脂質は、脳細胞、脊髄などに多く存在し、細胞膜やホルモンの素材となります。単純脂質は、中性脂肪や蝋(ろう)などです。体内でエネルギー源(ブドウ糖)が余ると、中性脂肪に変えて蓄えられます。これらの貯蔵された脂肪は、身体を外部環境から保護し、体温の保持にも役立っています。
真の栄養とは
ミネラル、糖質、ビタミンの摂取は未精製穀類、野菜、海藻、味噌、醤油を摂ることですべて満たされます。この食事で栄養学上は不足するとされるタンパク質と脂質は、体内で良質なものが生成されるので不足することはありません。玄米菜食を基本とする食養は、必要十分な栄養素が摂取できて不要な物質が入らないので、健全な身体を維持するもっとも合理的な食事であるといえます。真の栄養とは、食物の質、バランス、摂取法、体内環境などすべてが完璧で、真の健康が維持できる状態を言います。
アンチエイジングの第一の条件は、良質な血液です。良質な血液は、良質な食事からつくられます。