心・脳・身体の相関
愛と調和の意識が、心に深く浸透して深層意識に到達することができれば、人は健康で幸せになり、豊かになるでしょう。しかし現実の多くは思いどおりにならないのは、思い(顕在意識)と本心(下意識・潜在意識)とが一致していないためです。多くの場合、心で思っていることが自分の心のすべてだという思い込みがあります。そのため矛盾を感じて苦しむのです。
心は全体が統一されることによって、現実世界が望む方向に変わります。健康、人間関係、社会生活のすべてが心と一致してきます。
真の健康体とは、血液、細胞、神経系、内分泌系、循環系、身体器官の全てが、完璧な秩序で機能して、意識との連携も完全調和が保たれている状態です。人体は、すべての器官が健全に機能できる状態であり、その上でコントロール系(神経系・内分泌系)が健全に機能できていれば健康です。コントロー系を統括する中枢は、脳の視床下部です。このように身体器官と脳と心とは、密接な相関関係にあります。
思想が心身に影響
人の人生で起こるあらゆることは、とらえ方次第でどの様にでも考えられます。人、物、状況など、同じことでも観方によっては全く逆のことにも思えます。
マイナスの否定的観方や悪意をもった観方をすると、すべてのことが悪く思えてきます。プラスの肯定的観方や好意をもった観方をすると、すべてが良いことに見えてきます。
心の健康にとって、考え方・とらえ方はとても重要です。なぜなら強い思いは潜在意識に深く入って、心身に大きな影響を与えるからです。
肯定的、建設的で、プラスの前向きな考え方を習慣にすると、心も体もその他の物事もすべて良い方向に向かいます。普段からプラスの意識を習慣にしていると自然にプラス志向が身についてきます。
人の心の中心は感情です。どれほど理性的な人でも、理性と感情とが葛藤を起こすと必ず感情が優位に立ちます。どんな状況でも常に冷静に平常心を保てる人でも、心の中は平静ではないことが多いものです。そういう人ほど、病気を起こしやすくなります。なぜなら常に理性で感情を抑圧していることが多いため、間脳と辺縁系がアンバランスを起こして体中の組織・器官に障害を及ぼします。つまり我慢することが長期にわたって連続すると、心身のトラブルを誘発するのです。
本当の平常心は、理性・下意識(潜在意識)・感情がすべて平静で、抑圧もムリなコントロールもなく、自然体で調和している状態です。
そのためには、まず顕在意識の理性・知性を調和することです。第2段階は、下意識(潜在意識)の分野を調和することです。第3段階で、感情の世界を調和します。そして心全体が調和すると、はじめて本当の平安な精神を保つことができるようになります。身体的にはホメオスタシスが機能して、いつでも心身が健全に保たれます。
すべての因は自己の内にあり
すべての現象の因が自己の心の中にあるという観方で、下意識をプラスの方向に変えていくと、その心の影響は内と外に向けて発信され、自然にすべてのことが良い方向に動いていきます。良いことも悪いことも、その因は自分の心にあるというとらえ方をすると、物事や心身状態が好転します。
たとえば人間関係のトラブルは、大抵の人に良く起こることです。それは互いに自己中心の意識が無意識に働いて、自己の正当性を主張することが多いためです。互いに相手の言葉をよく聞いて理解することに努めるなら、トラブルは起こりません。その時互いに自分に因があるという発想になれば、問題が起こってもすぐに終息します。そして人間関係とともに、互いの健康レベルは向上し、周囲の状況は好転します。
健康、学習、スポーツ、ビジネスなどにおいても、同じことが言えます。冷静に自己の内側に意識を向けて因を探っていく反省は大切なことですが、少しでもマイナス感情が伴うと事態は悪化していきます。多くの人は、反省しているつもりで後悔をしています。後悔からはあらゆることが悪化し、物事は望まない方向に展開していきます。反省と後悔は、同じように見えても、本質はまったく違います。
反省は、理性の面で『因果の理』を冷静にとらえ、原因を除いて事態を好転に導き、同じ悪結果を招かないよう努めることです。後悔は、理性と感情面が同時に働くために下意識(潜在意識)に否定的な望まない想念と自己像がインプットされ、事態が悪化の方向に向かってしまいます。
思想の調和
すべての事象は、どちらにも偏らない中庸の観方・捉え方で均衡がとれていると、物事が円滑に進みます。右か左か、善か悪かのように、一方だけに目を向けるのではなく統合的・包括的見方が大切です。
たとえば何か失敗をした場合、『因は自己の内にあり』という捉え方をすることが、未来の向上のためにプラスになりますが、下意識にマイナス想念をインプットしてしまうと事態は悪化していきます。『因』を活かして進歩・向上するプラス想念のみを下意識にインプットする習慣化が必要です。
病気の場合に、「癌は自己の味方だから仲良くしなければならない」というような勘違いをすると、治りません。癌は自分の生活の誤りを正すための警鐘・警告だから感謝して受け入れるべきだという考え方で、この想念がインプットされると、癌と共存することにもなります。癌は謙虚に受け止めて因を知り生活改善をすれば、「癌は無用のものとなり消えていくものだ」という認識が必要です。病は生活の誤りを正すための警鐘であり生命を守るための修復現象だという捉え方です。病は自分のために必要なものという部分だけがインプットされると、病をくり返すことになります。
トラブルやアクシデントは、自分の学びのためだから喜んで受け入れるべきという思いで苦しいことを望む想念をインプットすると、次々にトラブルが続くことになります。苦しい学びは必要だが、再び繰り返すことはないとの思いをもち、意識の根底では常に良い方向に向上・発展していくという思いを定着させることが重要です。
またマイナス要素のことを思い考える時には心全体(顕在・潜在・感情)が働き、プラス要素のことを思う時には理性だけが働いているというのが大半の人です。この思い方の良くない習慣を逆転して改めなければ、望むことは現れず望まないことばかりが顕在化します。つまり良いことは心全体で考え・思い、悪いことは理性のみで考えるということです。
倫理、道徳、哲学、宗教、心理学、大脳生理学を学び、理性で理解して言動を律することで、真理が分かったと錯覚で認識することがよくあります。分かったつもりになると、それ以上求めなくなり向上することができなくなります。本当に分かるとは、顕在・潜在の意識全体で真に認識することです。
立体思考
物事を見る場合、常に3方向の視点に立ってみなければ、間違いや勘違いを生じやすくなります。すべての事は全体観に立って観るとともに、重要な点は深く本質を観ることです。
さらにすべての物事は変化し続けていることを前提に、過去・現在・未来にわたって観るこ
とが必要です。医学、科学、社会、自然界などすべては変化の連続です。今の一瞬を固定的
に観ることで誤りを生じます。
特に人に関わることに関しては、3つの視点の立体思考の観点で捉えなければ誤りが多くなります。医学、心理は間違いだらけ、人間関係、社会生活などは誤解と争いばかりというのが現実です。
