睡眠

睡 眠

睡 眠

人にとって睡眠という生理機能は、大変重要です。睡眠中に心身の疲労を取り、身体の歪みを修正、低下した器官の修復、脳活動物質の生成、前日の思考記憶の整理、翌日のエネルギー源の産生など、実に多くの生命活動が行われています。その準備と修復が不十分な場合は、翌日に疲労が残り、障害が起こってきます。
質の良い睡眠がとれていないと、ストレスが蓄積してうつ状態が起こりやすくなります。またホルモンの分泌が不充分なため自律神経が不安定になり、様々な不調が発生することになります。特に熟睡時に下垂体から分泌される成長ホルモンは、不足すると代謝が低下して体力や免疫力が下がります。さらに、けがや慢性炎症などは、治りにくくなり、老化が早く進むようになります。
人の身体は、夕方から夜にかけて自律神経が活動型の交感神経から、休息型の副交感神経に切り替わってきます。正常な人は、夜8時ごろに身体が休息状態に入り始め、睡眠の態勢が整ってきます。不眠症の人は、夜になっても交感神経が働いていて、昼間と同じ活動状態のままです。
不眠は、自律神経とホルモンのアンバランスによって起こりますが、その原因には様々なものがあります。食事の誤りによる血液の汚れ、血液循環不良、心臓、肺、肝臓、腎臓、腸などの障害、また、鼻、耳、口腔、気管支、血圧異常、身体の冷え、ストレスの鬱積など多くの要因があります。脳に対する強い刺激は、すべて不眠の原因になります。
質の良い睡眠をとるためには、自律神経系と内分泌系(ホルモン)が安定していることが、重要な条件です。そのためには、良質な血液がスムーズに循環していることが必要です。
良質な血液を造るには、食生活を調えることです。食の質を正して血液が浄化されると、血液・リンパ循環が円滑になり、全身器官の機能が向上します。自律神経と内分泌腺が向上し、睡眠に関与するホルモン(メラトニン、セロトニンなど約30種)が円滑に分泌されて睡眠を促します。

食事療法
食養の基本を調えた上で、睡眠を促す食物を摂る
◇ 睡眠を促す食物
麻の実、なつめ、ごま、ユリ根、シュンギク、レタス、チコリ、味噌、納豆、ネギ、ニラ、ワケギ、長ネギ、玉ネギ、ラッキョウ、アサツキ
◇ ミネラル多含食物……自律神経安定化には、ミネラルが必須
昆布、わかめ、ひじき、ふのり、のり、もずく、あらめなどの海藻、
きくらげ、ごま、きくいも、山芋
◇ 脳細胞向上の栄養素(ビタミンB12)
酵母、のり、味噌、かき、しじみ

補助療法
食生活を調えたうえで補助療法を併用すると、睡眠障害は早く確実に改善されます。
腹式深呼吸
下腹を大きく動かす腹式深呼吸は、横隔膜を大きく上下させ、内臓全体の血行が著しく高進し、その機能が高まり内分泌腺も活性化してホルモン分泌が旺盛になります。
下腹の中心にある太陽神経叢(腹部の自律神経の中枢)が刺激され、自律神経が安定して副交感神経優位になって、睡眠に入りやすくなります。心もおだやかに安定してきます。
腹式深呼吸は、多くのやり方がありますが、基本的なシンプルなスタイルが、最も効果があがります。

日光浴
ほどよく日光に当たることは、代謝が活発になり、自律神経と内分泌腺が安定し、免疫力が高まり、健康増進に大いに役立ちます。とくに、首の裏、腎臓部、骨盤部(腰)、足裏に気持ちいい程度ほどよく日光浴を行うと、睡眠障害を解消します。
やり方
うつぶせの姿勢で、1回15~30分日光を浴びます。直射でも、ガラス越しでも結構です
が、体調や日差しの強さによって浴びる時間を加減します。
皮膚に直接当たるのが、最も効果的です。

可視総合光線治療
可視総合光線治療機は、太陽光線に極めて近い光を発生する装置です。カーボンをアーク放電させて発光させる仕組みです。
アーク放電によって発する強力なエネルギーの光線は、生命活動を増強し、代謝を活発にして、細胞の機能を高進させます。
日光浴と同様に、首裏、腎臓、骨盤、足裏に当てます。
日光と違って、いつでも同じ条件で治療できます。光線の波長は目的に応じて変えることができますので、適切な治療が可能です。
光線は、足裏に当たっているだけで眠くなることがよくあります。
足浴
足を湯の中で温めると、全身の血行が促進し、自律神経が安定します。内分泌機能が向上して、睡眠に入りやすい態勢ができます。

アロマテラピー
人の五感のうち、とくに嗅覚と聴覚は、自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系に大きく影響を与えます。薬用植物(ハーブ)の有効成分(精油)を抽出し、その香りを利用する治療法を、アロマテラピー(芳香療法)といいます。
心地よい香りで嗅覚を刺激すると、その信号は脳の奥深く大脳辺縁系に直接伝わります。大脳辺縁系は、本能や情動を支配する中枢であり、自律神経の中枢の間脳にも関与しています。間脳にまで到達した心地よい刺激は、生命活動を活性化し、精神を安定させ、自律神経とホルモンのバランスが調います。
また、芳香成分は、粘膜や肺胞細胞からも吸収され、代謝を活発にして内臓機能を高めます。精油を、部屋においたり衣服につけたり、お風呂に入れたり、オイルを混ぜて皮膚にすり込んだりして使います。
睡眠を促す効果のあるハーブは、ラベンダー、ローマンカモミール、ネロリ、バーベナ、リンデン、フランキンセンス、ベチバー、ベンゾイン、マージョラム、マンダリン、イランイランなどです。
レモンのスライスや、刻んだねぎを少量枕元においても、効果があります。

音楽療法
音の波動が人に与える影響には、計り知れないものがあります。人間だけに限らず、動物、植物、微生物、物質にいたるまで音波はあらゆるものに、様々な物理作用を及ぼします。
太古の時代から人々は、リズミカルな音の刺激で、心を鼓舞したり、心地よさに酔いしれたり、興奮したりすることを経験してきました。音のリズムは、高度に発達し音楽という形になって、文化の大きな位置を占めるようになってきました。近年では、音による聴覚の刺激が脳に影響を与え、身体全体に大きく作用することがわかって、音楽療法として位置づけられています。
不眠の場合は、睡眠を促す有効な音楽を、気にならない程度の小さな音で、BGMとして流しておくととても効果があります。
眠りを促す効果のある音楽
バッハ『ゴールドベルク変奏曲』、モーツァルト『子守歌』、シューベルト『子守歌』、ブラームス『子守歌』、シューベルト『アヴェ・マリア』、メンデルスゾーン『真夏の夜の夢』
グノー『アヴェ・マリア』、ブラームス『眠りの精』、ショーソン『詩曲』、ドビュッシー『ピアノソナタ「夢」』・『ピアノソナタ「雨の庭」』、ラヴェル『組曲「眠りの森の美女」』
モーツァルト『ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466』・『ピアノ協奏曲第24番ハ短調K491第二楽章』・『フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299』・『クラリネット協奏曲イ長調K622第二楽章』、ショパン『ピアノ協奏曲第一番ホ短調』・『ノクターン(夜想曲)』
チャイコフスキー『白鳥の湖』

森林浴
さまざまな木々が並ぶ森林のなかは、マイナスイオンとフィトンチッドと、酸素がとても豊富です。
マイナスイオンは、自律神経のバランスを整え、副交感神経が優位になって、心身の緊張をほぐします。フィトンチッドは、神経を静め、代謝を促進します。豊富な酸素は、代謝を盛んにし、体内をクリーニングします。このような森林効果は、就寝時、眠りの態勢に入りやすくします。

観葉植物
葉を多くつけた植物は、室内の空気を浄化する力があり、その能力は機械のエアークリーナーをしのぐものです。
観葉植物は、マイナスイオンを放出し、プラスイオンを吸着して減らし、酸素を放出し、二酸化炭素を減らし、空気をクリーニングします。化学物質は鉢の中の土が吸収し、植物の根から吸い上げられて、内部で分解されます。
空気中のマイナスイオンがプラスイオンより多い状態にあると、自律神経が安定します。豊富な酸素は、全身の細胞を活性化します。(夜間は、酸素を放出しない)
観葉植物の目安は、八畳間の場合で高さ30~40cm、鉢の直径15~20cmくらいです。植物を置く場所は、光が当たる窓際と、部屋の奥では効果に10倍の差があります。植物は、光を浴びると生命活動が活発になります。

【健康補助食品】
ローヤルゼリー
ローヤルゼリーは、自律神経とホルモンの安定化作用がとくに顕著です。肝臓、腎臓、心臓、消化器、呼吸器、血圧などにも効力を発揮します。ローヤルゼリーの総合的な作用で、睡眠障害にはたいへん効果があります。

プロポリス
プロポリスは、ミツバチが樹液を吸って体内の酵素の作用で、薬効のある物質に変化したものです。副腎を強化する機能をもつ、唯一の天然物質です。副腎機能が向上することによって、全身の機能が高まり、自律神経とホルモンが安定し睡眠に入りやすくなります。
花粉
花粉は、人体に必要な栄養素の大部分を含んでいます。また、自律神経と内分泌腺の機能を高める物質が含まれているため、睡眠に入りやすくなります。
酵母
酵母には、人体に必要な栄養素の大半が含まれています。特筆すべきは、脳細胞の働きに欠かせないビタミンB12を多量にふくみ、バランスのよい栄養素が、神経系を安定させ、おだやかな睡眠に入りやすくします。

ミネラル
体内のミネラルバランスがくずれると、自律神経とホルモンのバランスが乱れ、睡眠障害の大きな要因となります。良質の総合ミネラルを摂ることによって、身体全体が調って睡眠に入りやすくなります。

快眠には姿勢、呼吸、入浴が影響する
姿勢
人の身体は、206本の骨で支えられています。特に首から骨盤まで33個の骨で支えている脊柱は、文字どおり「柱」です。脊柱の中には、全身をコントロールする重要な神経が束になって通っています。身体がどんな態勢であっても常に正常に機能できるよう、巧妙に支えて生命を保っています。また脳から出た神経は、多くが脊柱を通って全身器官に分布し、臓器・器官を保持しています。背柱を保つ33個の椎骨は、わずかな狂いがあっても様々な器官に障害を起こします。
普段、姿勢が悪いまま生活していると、あらゆる病気を起こす原因になります。就寝中、座っている時、歩行中など、どんな場合も姿勢は重要です。正しい姿勢を意識して習慣化すれば、正しい姿勢を楽に保つことができます。

呼吸
健康をはじめ、スポーツ、音楽、武道、体操、学習など、あらゆる分野において、呼吸は基本です。呼吸が整っていると、進歩が早く、能率が増し、疲労が少なく、ミスが少なく、能力がフルに発揮できます。
深くゆっくり腹で呼吸することが、基本です。下腹を大きく動かして ゆっくり呼吸をすることによって、肺全体が大きく膨らみます。こうして、肺内部の圧力が上がり酸素の吸着率が良くなって、血液中の酸素量が増えます。酸素量が増加すると代謝が上がり、細胞の基本機能が高まります。脳細胞にも、酸素の供給が増加して、脳機能が高まります。それにつれて、脳の中心に位置する脳幹の機能が向上するため、ここから全身に伸びている自律神経系の機能が高まり安定します。また脳幹には、ホルモン系の中枢があり、全身のホルモンバランスが整います。そのため精神が安定し、全身器官の機能が高まります。

入浴
適切な入浴は、心身の疲労をとってリラックスするのに大変効果があります。
入浴のタイミングは、満腹のときと食事の直前を除いていつでも結構です。食事の直後は、入浴によって全身の血行がよくなり、血液が消化器に十分供給できなくなり消化の妨げになります。食後の入浴は1~2時間、入浴後の食事は30分くらいの間をおくことが必要です。
湯の温度は、リラックスが目的なら39~40度くらいのぬるめの湯、リフレッシュが目的なら41~43度くらいの熱めが適しています。
湯から上がるときに、シャワーで水を数秒かけて皮膚に刺激を与えると、保温効果が高まります。さらに副腎機能が高上し、自律神経のバランスが整います。その結果、免疫力が上がります。
身体の深部まで十分温まってから、そのまま上がると害が現れることがあります。全身がよく温まると、ほとんどの関節が弛緩しています。その状態で動き回ると、脊柱、骨盤、ひざ、足首などに負荷がかかり関節の故障を起こす場合があります。関節の故障は、時として内臓にまで影響を及ぼすことがあります。その弛緩している関節に冷刺激を与えると、瞬間に収縮して元の状態に戻ります。その後に動くのは、なんら問題はありません。
半身浴で下半身をよく温めると全身の血行が盛んになり、冷え性の改善や循環器の機能が高まります。反面、副作用も重大です。熱めの風呂で、下半身を長時間温めていると腸内が温まってきます。腸は、37.2度のときもっともよく機能します。この温度をこえると、腐敗が起こります。腸の中に肉や魚が入っていると、強い毒性物質を発生します。この物質は吸収され全身に運ばれて、いたる所で障害を起こします。長期間続けると、病気を起こす恐れがあります。一方、座浴の場合は湯につかるのが骨盤までなので、マイナス面がなく高い効果が得られます。
湯は、水道水より地下水の方が適しています。地下水は、ミネラルが豊富に含まれているので、温泉と同様の効果も期待できます。
水道水は、塩素やトリハロメタンなど化学物質が多く含まれています。化学物質は気化して浴室内に充満し呼吸器に入ってきます。
浴室で使う石けんは、固形の有害添加物が入っていないものを使用します。シャンプーも、安全なものを使用します。ボディシャンプーなどは、危険です。
洗剤類には、化学界面活性剤が含まれています。この物質の共通点は、浸透性と分解力です。この性質が強力なものは、細胞の核にまで侵入して徐々に障害を与えていきます。この影響が長期にわたると、遺伝子障害を起こします。
入浴は、普通に入るだけでもリラックス効果がありますが、湯中に有効成分を入れると血流促進・代謝促進・精神安定などの効果がより高まります。
有効な浴剤
◆ ミネラル(粉末)……5~10g(大さじ1~2杯)
◆ 塩……5~10g
◆ 重曹(炭酸水素ナトリウム)……5~10g
◆ ハーブ……ラベンダー、ローリエ、カモミール、ペパーミント、ローズマリー、
セージ、タイム、バジルなど
◆ 果物の皮……ミカン、ユズ、カボス、スダチ、ボンタン、リンゴ、モモ、カキなど
◆ 野草……ヨモギ、クズ、ショウブ、ユキノシタ、タンポポなど
◆ 茶……緑茶、紅茶
◆ 木の葉……松、栗、桃、杉、桧、柿、ひば、楠など

※ ぬるめの湯にゆっくり入るとよい……39~40度  10~15分
※ 就寝30分以内は、入浴は避ける
就寝時に体温が上がると、自律神経が就寝モードにならない