身体(機能)

『自律神経とホルモン』

厳しい環境でも快適に過ごせる

真夏の酷暑も真冬の酷寒も、単に不快なだけではなく体調をこわすことが多くなります。また春や秋などの気温や気圧の変化が激しい時期も体が変調をきたすことが増えます。その原因の多くは、体の自動コントロール機能がうまく働いていないためです。健康を保つための自動コントロールは、自律神経とホルモン(内分泌)が主な役割を担っています。

人の体はこの世で最も複雑な構造物です。体と意識を常に健全に快適に保つのは、実は大変な働きです。わずかな狂いでも、大きな障害に発展することがあります。そのコントロール機能を『ホメオスタシス』(恒常性)といいます。

ホメオスタシスが健全に働いていれば、暑さでへばることもなく、熱中症にかかることもなく、エアコンがなくても、快適に安全に過ごすことができます。

自律神経系・ホルモン系はデリケート

自律神経・ホルモンは心の影響を強く受けます。不調和な意識は、双方の機能を低下させバランスを崩します。不調和な意識は、不安、恐怖、怒り、憎しみ、恨み、妬み、イライラなどのネガティブ感情やマイナスの思い、マイナスイメージなどです。

また、食事の摂り方が大きく影響します。食事の質とバランスが悪いと血液の質が悪くなり、質の悪い血液が脳内を流れていると脳機能が低下します。脳機能が低下すると、ホメオスタシスが低下するため心と体を健全に保つことができなくなります。

神経系・内分泌系を健全に保つためには、普段の生活を調えることが大切です。生活の中で、心の安定、適切な食生活、適度な運動など健康の基本を調えることが、神経系・内分泌系を安定させるために必要な要素です。特に、心の安定が最も大切です。

自律神経のチェック

自律神経が乱れると、様々な症状が現れます。症状の現れ方には個人差があり、一定の症状が長く続く場合と、症状が様々に変化する場合とあります。

「チェック表」の症状が複数あれば、自律神経の不調が疑われます。

5ポイント以上あれば、対処することを考えた方が良いでしょう。

 【自律神経チェック表】

    症状
倦怠感(だるい)、疲労感
睡眠障害

寝つきが悪い、眠りが浅い、寝起きがつらい

微熱、のぼせ
頭痛、頭重(頭が重い)
めまい、立ちくらみ、フラフラ・フワフワする
目の疲れ、目が乾く、目が充血、まぶたのけいれん、涙が多い、目が開けにくい
耳鳴り、耳づまり感(異物感)
口が乾く、唾液が過剰、味覚異常
のどの違物感、圧迫感、のどがつまる感覚、

飲み込みにくい

首がこる、首が回らない
不整脈、頻脈(脈が速い)、胸部の圧迫感
高血圧
低血圧
呼吸が浅い、息苦しい、息切れ
胃の不快感・痛み、下痢・便秘が多い、

腹が張る(ガス)、吐き気

過食、食欲がない
筋肉痛、肩こり、腰痛、関節がだるい、背中が痛い、力が入らない
手のしびれ・ふるえ・冷え・ほてり、

手の平の汗が多い

足のしびれ・ほてり・冷え・だるい・痛み・ふるえ
頻尿(尿意が頻繁にある)、残尿感、尿が出にくい
生理不順、インポテンツ
皮膚のかゆみ、汗が多い、乾燥、抜け毛(円形脱毛)
不安感、恐怖感
イライラ、怒りっぽい
落ち込む(憂うつ)、些細なことが気になる、

落ちつかない

集中力が低下、記憶力が低下、注意力が低下
意欲がわかない(無気力)、根気が続かない

 

自律神経失調症

交感神経と副交感神経の働きのバランスが、何らかの原因によって崩れて発生する様々な症状を総称して、自律神経失調症といいます。自律神経のアンバランスにより起こる症状は人により様々で、内臓や内分泌系の病気をひき起こすこともあります。病原体によるもの以外の病気は、大部分が自律神経の機能失調が原因していると考えられます。

自律神経失調は、脊髄、小脳、頚椎の病変や、糖尿病、高血圧・低血圧症、脳動脈硬化症などが誘因となって起こることもあり、また、うつ病や神経症の身体症状として現れる場合もあります。

季節の変わり目の春や秋に、体調が悪くなって生活に支障が出る人が増加します。春秋は気温や気圧の変化が大きく頻繁に起こるため自律神経がスムーズに対応できず、体が順応できなくなることによって自律神経失調が起こります。自律神経が安定している人には、起こりません。

更年期に様々な体調不良が起こるのも、自律神経の機能失調です。これは閉経期にホルモンバランスが崩れて自律神経が影響を受け、体調不良に陥るもので更年期障害といわれます。更年期障害は、男性にも起こります。
内分泌系(ホルモン分泌器官)

内分泌腺の主な機能は、ホルモンを産生し直接血流中に分泌して身体の各部の活動を調整し恒常性を保つための情報伝達の役割を担っています。

内分泌系の主要な器官は、視床下部、下垂体、甲状腺、上皮小体、膵臓、副腎、精巣、卵巣等です。

神経系と内分泌系の多くは、連動しています。身体各器官の情報を受信した神経系は、視床下部、下垂体にその情報を伝え、そこでホルモンの分泌がコントロールされます。

ホルモンによる情報伝達のシステムは、段階的に進みます。たとえば副腎皮質ホルモンでは、視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、それにより下垂体から副腎皮質刺激ホルモン分泌され、これが血液によって副腎に運搬され、はじめて副腎皮質ホルモンが分泌されます。

脳の調節機能が低下して神経系とともに内分泌系のバランスが崩れると、身体の恒常性が保てなくなります。

神経系

脳は、各臓器などあらゆる身体器官からの情報を受け取り、神経系と内分泌系が連動して人体全体が常に一定の状態を保つようコントロールしています。コントロールシステム全体は、脳が統合しています。

神経系は、間脳、脳幹から神経細胞により全身の器官に分布しています。神経細胞は、電気や化学物質により信号を伝え、脳と各器官の情報交換を行っています。

中枢神経系は脳と脊髄からなり、情報受信と命令発信の中枢的役割を司っています。末梢神経系は脳と脊髄を身体各部に連絡する神経ネットワークであり、体性神経と自律神経があります。体性神経は、自分の意識・意思によって機能します。自律神経は、呼吸、循環、消化等、生命の維持に直接関係する諸器官の機能をコントロールします。自律神経は、意思とは無関係に反射によって調節され、休みなく諸器官を調節しています。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2系統からなります。交感神経は脊髄の胸部、腰部から発し、副交感神経は間脳、脳幹から発する迷走神経と、仙骨神経(脊髄最下部)から発する骨盤神経からなります。交感神経と副交感神経は、多くの臓器でほぼ反対の作用をもちながら、臓器の機能のバランスをとっています。

信号を中枢に伝える神経を求心性神経、中枢から末梢へ信号を伝える神経を遠心性神経とよびます。

脳の調節機能がバランスを崩し自律神経系の統制がとれなくなると、身体全体の恒常性が保てなくなります。その状態では、自己治癒力が十分発揮できません。

【自律神経】

交感神経 活動時に働く

心拍促進、呼吸促進、血圧上昇、体温上昇、発汗促進、瞳孔散大、気管支拡張、胃液分泌抑制、血管収縮、腸収縮(便秘傾向)

副交感神経 リラックスしている時に働く(睡眠時など)

心拍抑制、呼吸抑制、血圧下降、体温低下、瞳孔収縮、胃液分泌促進、気管支収縮、血管拡張、腸活動促進、涙分泌促進、排尿促進

 

自律神経を調える方法

自律神経・ホルモンを整えるためには多くの方法がありますが、次のものは安全で大きな効果があります。

詳しいことは、別の機会に解説します。

◇食事療法

◇運動療法

◇ストレッチ(特に首のストレッチ)

◇腹式深呼吸

◇マインドフルネス

◇タッピングケア

◇指先の指圧

◇音楽療法

◇アロマセラピー

◇自然環境に親しむ(森、山、海、湖畔、川辺)

◇日光療法

◇脊柱運動