病気

花粉症(花粉アレルギー)

自己防衛システムの暴走

人の身体は、常に様々な異物や外敵にさらされています。細菌、ウィルス、カビ、ホコリ、化学物質等々、数え切れないほどのものが体内に侵入しようとします。人体は、どんな侵入物があろうとも即座に対応して、自己を守る体勢をとります。体内のあらゆる器官が、見事なまでの連携プレーで侵入者を排除します。この機能があるため、人は生きていくことができるのです。
この自己防衛システムを、免疫と言います。狭義では、病原体による感染症から身体を守る機能をいいます。
この、自己防衛システムの一部が狂い、暴走してしまうのがアレルギーです。アレルギーには、実に様々なタイプがあります。食物、金属、薬物、ほこり、花粉など、外部から身体に触れたり侵入したりするものの種類や反応の現れ方にそれぞれ違います。それぞれ反応する対象によって、食物アレルギー、金属アレルギー、花粉症などと呼びます。
不特定の異物や体内で発生した老廃物など、ほとんどの異物に対し過剰反応をおこして皮膚に炎症を発生するタイプは、アトピー性皮膚炎といいます。このタイプはとても厄介で、皮膚の炎症が常に出ていてかゆみや痛みに悩まされます。
日光、寒冷、空気、生物、水などに反応するタイプもあります。
現代人は大半の人が、アレルギー体質をもっています。20代の人の90%は、潜在的アレルギー体質といわれています。正常な生活ができないほど悪化している人も、増加しています。

国民病となった花粉症

とくに花粉に対して過剰反応し、目、鼻、のどの粘膜などに炎症をおこすタイプが花粉症です。現代人の3000万人以上が、花粉症で悩んでいます。
花粉症は、外界から侵入しようとする異物に対する免疫システムのアンバランスから発生します。免疫細胞の一つ、ヘルパーT細胞Ⅰ型(Th1)とⅡ型(Th2)のバランスが崩れたことが、大きな原因となっています。Th1は主に体内に存在して病原体などに対応し、Th2は皮膚や粘膜など身体の外側に存在して外部からの異物に対応しています。Th1とTh2のバランスがとれていれば、侵入物に対して過剰反応をしなくなります。
カギとなる免疫細胞Th1の70~80%は、小腸の組織内に存在しています。現代人の腸内には、Th1が減少しています。そのため相対的にTh2の比率が多くなってバランスが崩れます。その原因は、近年になって微生物が口から侵入することが極端に減って、腸内の免疫細胞が活動する機会が少なくなったためです。

免疫システム

身体は、異種の物質(抗原、アレルゲン)に対して特異的な反応をおこし、自己の生命を守ろうとします。異物に対する反応を、免疫応答といいます。免疫応答によって生じる自己を守る物質は、抗体です。免疫反応をおこさせる異物を、抗原といいます。アレルギーなど、過剰反応をおこさせる異物を、アレルゲンといいます。
1度、抗原抗体反応によって造りだされた抗体は、再び抗原と遭遇すると種々の免疫反応をおこします。この免疫応答ないし免疫反応は、自己保存のための重要な防衛機構であり、通常は生体を保護するために機能します。このシステムに障害をおこし、生体に炎症や潰瘍など支障をきたす状態がアレルギーです。
免疫システムは免疫細胞のみで成り立つものではありません。免疫細胞を産生し、これを養い、
側面から補助し、システム全体をコントロールする機能など、様々な機能が連携して免疫機能が成り立っています。そのためには、身体全体のバランスを正し、各器官の機能を正常化しなければなりません。
免疫機能にもっとも大きく関わる器官は、脳幹、副腎、小腸、肝臓、腎臓です。小腸、肝臓は
免疫細胞の産生に深く関与し、腎臓は免疫細胞の活動環境を適正化し、脳幹、副腎は免疫システム全体のコントロール系の中枢的役割を担います。

免疫システムが狂う原因

現代人の免疫システムがここまで狂ってしまった原因は生活全般にわたっていますが、もっとも大きな要素は食生活です。食事があまりにも不自然でアンバランスになったため、血液の質が悪くなり、免疫に関わる脳幹、副腎、小腸、肝臓、腎臓などが異常をおこしたのです。
食事のマイナス要素は、質の悪いタンパク質、脂質、糖質の過剰摂取。農薬、添加物など化学物質の過剰。不適切な料理の仕方、食事のタイミングや食べ方、過食など、食生活全体が不調和になっています。
その上精神面でも不調和が多く、精神障害が激増しています。精神の不調和は、脳幹を乱して自律神系・内分泌系(ホルモン)のアンバランスを引きおこします。それが免疫システムの調節不良をおこし、アレルギーにつながります。
アレルギーの代表・花粉症の原因は、戦後大量に植林した杉の花粉が増えたためといわれています。花粉の飛散量は、戦前の10倍に増えましたがそれが原因ではありません。現代人の生活が、免疫システムを狂わせた結果です。
花粉は、本来人にとってとても有益なものです。花粉は、植物の生命を生み出す源です。そこには、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、人体に必要なほとんどの栄養素が含まれています。また、人体を活性化する有効成分も豊富に含んでいます。花粉を食べると体質が改善され、病気は快復します。花粉は、とくに自律神経系、ホルモン系を整え、循環器(心臓、血管)、肝臓、腎臓、副腎などの機能を高めます。
現代人の生活環境は、過剰なほどの衛生意識が働いているのも、大きな原因の一つになっています。自然に暮らしていれば、菌やウィルスやカビなど様々な病原体が、毎日体内に入ってきます。侵入した病原体は、腸内にある免疫細胞が処理します。そのため免疫細胞は、抗体を造り続け、機能を上げ続けています。ところが現代人の生活では病原体が入る機会が少ないので、免疫細胞は働く必要がなく、退化し減少していきます。その結果、Th1とTh2のバランスが崩れて、アレルギーがおこってくるというわけです。
その他、環境の悪化、運動不足、膨大な量の電磁波など、多くの要因があります。

カギは免疫細胞の素材

免疫システムが機能するとき、主体となって働くのは白血球などの免疫細胞です。免疫細胞は、血管、リンパ管、粘膜、肝臓などの中に分布して活動している血液細胞の一部です。したがって、血液の質を良くすることが、免疫細胞の質を高めることにつながります。血液は、すべて食物を素材にして造られます。血液を改善するには、食事を整えることが必要です。
食事は、良質な血液細胞の素材になるもののみにして、その上で腸、肝臓、腎臓、副腎の機能を向上させる食物を摂ります。
腸の機能を高め、腸内環境を整えると、良質血液の基盤ができます。肝臓の機能を高めると、血液細胞の質が高上し、免疫細胞を改善します。腎臓機能が高まると、血液中の老廃物が排除され、血液が浄化されます。副腎の機能が高まると、免疫細胞が適切にコントロールされ、バランスが整います。こうして、免疫細胞全体が、正常に機能できるようになります。
一方Th1とTh2のバランスを回復させる最も確実な方法は、発酵食品を積極的に摂ることです。病原体を毎日取りこむことは、あえてする必要はありません。ただ過度に菌を恐れて、やたらと過剰に殺菌・滅菌をするようなことは、避けなければなりません。
また、免疫システムは自律神経系と内分泌系によってコントロールされています。その中枢は、脳幹です。脳幹に大きく関与するのは、意識です。したがって自律神経系と内分泌系を安定させるには、心を整えることが必須です。
以上のように、免疫細胞の素材、免疫細胞の生成、免疫細胞の統制、それぞれが正常化することにより、アレルギーは完治させることができます。

アレルギー体質の改善

アレルギー体質を完全に治すためには、血液と主要器官を正常化して身体全体を健全に戻さなければなりません。血液の正常化は、食事改善が不可欠です。アレルギー体質は、厳格な食事改善を行わなければ完治までに相当な日数がかかることになります。
食事は、最も重要な体質改善の要です。食養の基本を整えるのは、どんな病気の場合も共通です。その上で、免疫システムを改善するための食事を加えて摂るようにします。
主要器官の正常化は、特定器官の機能を高めるための食物(有効食物)の摂取と補助療法を行うことによって改善を促進します。

体質改善の食事

【食事改善の要】
◆精製糖類を摂らない
白砂糖、グラニュー糖、氷砂糖、粗目、果糖、ブドウ糖、乳糖、オリゴ糖、還元糖
◆動物食品を控える
肉、魚介類、牛乳、卵、これらの加工品
◆油脂を控える
◆一般加工食品を控える
◆体を冷やす食物を摂らない
特に強陰性果物、ハウス栽培果物、輸入果物
◆精製穀類を控える
白米、白麦、精白小麦粉
◆強陰性食品を控える
ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモ、タケノコ、ミョウガ、茸(生)、酢、香辛料、
アルコール、ジュース
◆大豆加工品は控える
豆乳、豆腐、凍豆腐、湯葉、油揚げ、厚揚げ

◇ 良質な浄水を使用
◇ 朝食は控え目に摂る
◇ 主食を主にして、副食は少な目にする
◇ 少食にする
◇ 調味料
塩、味噌(赤)、しょうゆ、梅酢などを主とする
◇ 海藻を毎日摂る
特に、フノリ、ヒジキ
◇ アレルギー体質を改善する食物を積極的に摂る

アレルギー改善食物

玄米、玄ハトムギ、葛、フノリ、タンポポ(根)ゴボウ、レンコン、ニラ、キクラゲ、ダイコン葉、金針菜、カボチャ種、麻の実、梅干、赤みそ(豆みそ)、しょうゆ、たまりしょうゆ、
ニラ、キクラゲ、カボチャ種、麻の実、自然薯(天然山芋)、ニンジン、カボチャ、タマネギ、切干大根、キクイモ、ニンジン葉、タンポポ(葉)、ユリ根、ヨモギ、ワケギ、ネブカ(白ネギ)、ネギ、アサツキ、ラッキョウ、蓮の実、干ショウガ、たくわん、コンブ、ヒジキ、ワカメ、ノリ、アオノリ、アオサ、アラメ、モズク、葛飴