紫外線
太陽光線は、あらゆる生物の生命活動のためになくてはならないものである。日光によって得られるエネルギーは、直接・関節に生物の体内に摂りいれられて、活動の原動力になる。
日光は、波長の短い紫外線、可視線、波長の長い赤外線まで広範囲な波長を含む総合光線である。エネルギーは適度な量が必要であって、不足も過剰も生命活動を乱す。
光は、波長が短いものほど作用が強い。紫外線は波長が短いため、人体に与える作用は強力である。適度に浴びれば、代謝を高め、ホルモンの分泌を活発にし、ビタミンDの形成を促す働きがある。過度になると、様々な害を及ぼす。
紫外線は波長により、紫外線A(UVA)、紫外線B(UVB)、紫外線C(UVC)の3種に分類され、それぞれ性質が異なる。
太陽光線の波長と比率
赤外線 | 可視光線 | 紫外線A(UVA) | 紫外線B(UVB) | 紫外線C(UVC) |
(比率) 52% |
42% | 5.5% | 0.5% | 微少 |
(波長) 760nm~ |
400~760nm | 320~400nm | 290~320nm | 200~290nm |
紫外線の種類と特徴
UVA |
紫外線の90%以上がUVA 波長が長いため、季節・天候に関係なく1年中地上に放射 真皮にまで浸透して結合織のコラーゲン、エラスチンを損傷し、シワ、タルミの原因になる 皮下で活性酸素を産生し、それを介して細胞の脂質やタンパク質に損傷を与える メラニン色素の産生を促進 適度に浴びると、細胞の代謝が活発化 |
UVB |
オゾン層で吸収され地表には届かないものだが、近年オゾン層が破壊されてきたため、少量が地上に放射 夏季、快晴時に放射量が多い 表皮まで浸透し、真皮には届かない 破壊力は、UVAの100~1000倍強力 細胞核に吸収されDNAを損傷 シミ、シワ、皮膚の炎症をおこす 免疫力低下、白内障、皮膚がんの要因 |
UVC |
オゾン層で吸収され、地上には届かない(高地では届く場合がある) もっとも破壊力が強い波長 将来オゾン層の破壊が進むと、地表に到達する恐れがある |
タイプ別皮膚の変化
タイプ | 皮膚色 | 紫外線感受性 | 赤色変化 | 褐色変化 | DNAの損傷 |
1 | 白A | 高度過敏 | 強度発生 | 発生なし | おこしやすい |
2 | 白B | 過敏 | 中等度発生 | 軽度発生 | おこしやすい |
3 | 白C | 中過敏 | 発生 | 発生 | ややおこしやすい |
4 | 淡褐色 | 中過敏 | 軽度発生 | 常時発生 | ややおこしにくい |
5 | 褐色 | 軽過敏 | 稀に発生 | 判別不能 | おこしにくい |
6 | 黒色 | 軽感受 | 発生なし | 判別不能 | おこしにくい |
※日本人は、大半2~4タイプ
※褐色変化の少ない人ほど、皮膚がんになりやすい
紫外線量の条件(UVB)
季節 |
UVB…3~9月が多い(夏季がもっとも多い)真夏は真冬の5倍 冬季でも長時間浴びると紫外線障害がおきる UVA…四季を通じて大きな差はないが、春~夏が多い |
天候 |
快晴時が最多 曇天、雨天…20~30% 薄曇り…50~80% |
地域 | 南方ほど強く多い |
場所 | 山頂は、太陽に近く空気が清浄なため、紫外線量が多い 高度300m高くなると、紫外線量4%増加 海岸は、内陸部より多い |
室内 | ガラス…UVAは通過する UVBは、ほとんど通過しない |
時間帯 | 10:00~14:00がもっとも多い 日の出、日没時がもっとも少ない(目に入る紫外線量は、逆に多い) |
空気中条件 | 排気ガス、ちり、ほこりなどが多い場所は、紫外線量が少ない |
地表の反射率 |
新雪…約85% 砂…約25% アスファルト、コンクリート、水面…約20% 芝生、土…約10% |
紫外線対策
◆日傘
黒色、UVカット加工のものがよい
◆サングラス
色が薄く、大きく、UVカット加工のもの
ファッショングラスは、避ける。
色が濃く、UVカット加工がしてないものは目を傷める。
◆帽子
丸く、つばが広く、黒色のもの
キャップは、UVカット効果が不十分
◆長袖衣類
襟付き、長袖、UVカット加工のシャツがよい
紫外線カット効果が高い素材…ポリエステル、綿
◆日焼け止めクリーム
薄く延し、回数多く塗ると効果が持続
安全なものを最小限使用
紫外線対策に有効な栄養素
栄養素 | 作用 | 多く含む食物 | |
ビタミン | ビタミンC | コラーゲン生成の素材…皮膚を健全に保つ
副腎皮質ホルモンの素材 活性酸素を除去 |
穀類、芋類、緑黄野菜(ブロッコリー、パセリ、ブロッコリー、キャベツ、ピーマンなど)モヤシ、レンコン、菜の花、カリフラワー、イチゴ、カキ |
ビタミンE |
皮膚の血流を促進
ホルモン生成を促進 活性酸素を除去 |
穀類、豆類、ゴマ、松の実、ヒマワリ種、クルミ、落花生、ピーナッツ、カボチャ種、レタス、ブロッコリー | |
ビタミンB2 | 細胞の代謝を促進し、皮膚を健全化 | 玄米、ノリ、ワカメ、ホウレンソウ、卵 | |
ビタミンB12 | 代謝を高め、皮膚を健全に保つ
血液の産生に必要 |
みそ、しょうゆ、牡蠣、アサリ、ハマグリ、卵 | |
β-カロテン |
皮膚の健全化
活性酸素を除去 |
ニンジン、ダイコン、ノリ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、シュンギク、明日葉、コマツナ、抹茶 | |
ミネラル |
亜鉛 |
細胞の再生に必要
酵素の活性に必要 |
カボチャ種、松の実、牡蠣、ショウガ、エンドウ、大豆、ライムギ、そば、クルミ、ピーナッツ、アーモンド、パセリ、ニンニク、ジャガイモ |
セレン | 皮膚細胞の代謝を促進
発がん抑制 |
玄米、ネギ類、麹 |