環境

自然環境が心に与える影響

人と環境は一体

人は、長い歴史の過程で自然環境に融合し適応して生きています。人は環境と一体化しているため、自然界の法則に反した生活を続けると、体は本来のバランスを失い健全な状態を保つことができなくなります。現代人の多くは、自然のリズムとかけ離れた生活をしているため、心身の障害が起こっています。ひいては社会的・経済的問題にもつながっています。

文化的な近代生活を享受しつつ自然界の法則に反しない過ごし方を知り、質の高い生活スタイルを調えることにより質の高い賢い生き方ができます。医学界ではQOL(quality of life・生活の質)が提唱されています。

自然が心身に与える影響

自然界の景色は、多くの人にとって美しく感じられるというだけではなく、心身に大きな影響を与えます。自然の木々、川、湖、空など自然の美しい情景は心が穏やかになり、ストレスが減り、脳機能が上がります。さらに自律神経系と内分泌系(ホルモン)が安定し、身体的機能も上がります。また学習や仕事の能率が上がり、ミスやアクシデントも少なくなります。

近年、環境の研究が進み、病院に入院している患者が窓から豊かな緑の植物が見える場合とそうでない場合では、回復のスピード、薬(特に鎮痛剤、安定剤、睡眠剤)の使用量に大きな違いがあることが明らかになりました。精神・神経系の疾患の場合は、差がさらに大きくなります。

また自然体験や自然の景色に接することで、疲労回復やストレス緩和などの改善効果が得られることが確認されています。『ウェルビーイング(※)』の向上という点においても、自然との接触が有効に作用することが多く示されています。子供から大学生まで数百人の調査によると、近隣の自然が日常生活におけるストレスの影響を軽減して、ウェルビーイングの促進に効果があることが明らかになりました。工場やオフィスでは、窓から自然の景色が眺められる場合、従業員のウェルビーイング向上につながることが報告されています。

自然環境

野原、森、山、公園、田畑

草木が生い茂る野原、森、山、公園、田畑などは、空気がきれいで酸素やイオン化物質が豊富に含まれ、爽やかで快適です。さらに自律神経系と内分泌系が安定するため、精神も穏やかになります。また木々が生み出すフィトンチッドは、精神安定と抗菌作用があり、空気をきれいにします。
人は標高の高い所にいると心と自律神経が安定し心地よくなるので、多くの人は高い場所を好みます。標高1000~1200mが最も快適で、それ以上高くなると酸素が希薄になり、疲れやすくなります。感性の高い人々が好んで高地に暮らすのは、心身が楽で快適に過ごせるからです。

空、雲、木、草、花

青く澄みわたった空、真綿のような雲、緑がいっぱいの草木、華やかな色どりの花々、可憐で清楚な花など、無限に広がる自然界があります。それを眺めるだけで、心が和み癒されます。人類は、自然とともに歴史を刻んできて自然と一体化しているため、不自然な人工的な環境の中では馴じめず違和感があるのは本能的・感覚的なものです。

空気

緑の植物が豊富な環境の空気は、酸素が豊富で二酸化炭素が少なく、不純物が少なく澄んでいます。きれいな空気の中では清々しく爽やかで、呼吸が快適になります。さらに自律神経・内分泌系が安定し、代謝が活発になり、心身の健康レベルが上がります。

また悪天候で雨や風が激しい時は不快ですが、風雨が去った後は爽やかになります。それは空気がきれいに洗われるためです。特に雷が多く鳴った後は、空気が心地よく感じられます。それは空気が浄化されて、さらに様々な物質に電子が結合しイオン化するためです。台風が去った後、空気が爽やかに感じられるのも同様のことが起こるためです。

水が豊富にある環境は、心地よく感じます。それは水が生命の源であることを本能的に感じて、潜在意識が喜ぶからです。川のせせらぎ、海岸の波の音、滝が流れ落ちる音などは、心が穏やかになり落ち着きます。ストレスなどは洗い流されるような爽快感です。

自然の光は、心が和みます。程よい日光は、心が穏やかになります。朝日を浴びると、体中にエネルギーが充満するのが感じられ、活力が高まります。夕日が沈むのを眺めていると、心が穏やかになり、溜まっていたストレスが昇華します。月や星の光を見ていると、心が穏やかになり落ち着きます。蛍の光を見ると、ほのぼのとして気持ちが穏やかになります。薪やろうそくの光は、心を落ち着かせ安らぎを与えます。

人の聴覚は、脳に直結しています。そのため音の刺激は、神経系・内分泌系と心に影響を与えます。

風、波、川、滝などの音は、心が休まり穏やかになります。鳥や虫の鳴き声は、心が和みます。梢が風に吹かれてこすれ合う音、

一方、強風の音や雷鳴などは、不安感・恐怖心を感じます。

実験によると、人は突然、無音状態の中におかれると、たった1日で精神障害が起こるという報告があります。これは環境への適応は、時間をかけてゆっくり変化しなければ、適応障害が発生するということです。

嗅覚は脳に直結しているため、神経系・内分泌系・精神に大きな影響を与えます。

草木はそれぞれ独特の香りがあり、その多くは快適なもので癒し効果があります。中には不快感を呼ぶものも一部あります。植物の香り成分は、アロマセラピーなど治療に使われることもあります。宮司や僧侶が瞑想の時に使う「塗香」は、複数の草根木皮などの乾燥粉末を混ぜたものです。塗香は、心を落ち着かせる効果があります。

基本的には快適に感じる香りが、自分に適しているものです。

土地

住まいが立つ地中は、土、石、岩などだけで構成されている状態が適しています。

地下に水脈があり水が流れていると、自律神経系・内分泌系と精神に悪影響を与えることがあります。水脈は、大地電流(地下を流れる電流)の流れを不安定にします。

大地には、縦横に電子の流れがあります。外から内側に向けて電流が流れている土地は、エネルギーが集まり生物を活性化する作用があります。逆に中央から外に向けて電流が流れる土地は、エネルギーが低くなります。エネルギーの低い土地に長年住んでいると、心身が低下して病気にかかりやすくなります。

(※)心・身・社会的に満たされた幸せな状態