病気

尿トラブル

過活動膀胱

過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって尿が十分にたまっていなくても本人の意思とは関係なく膀胱が収縮する状態です。その結果、急に尿意をもよおしたり、何度もトイレに行きたくなったりということが起きやすくなります。

「近年、排尿障害に関する疫学調査が行われた結果、過活動膀胱は40歳以上の男女の14.1%、約1,040万人の人が過活動膀胱を起こしていることが示されています。また、その約半数が尿失禁(切迫性尿失禁)を伴うことが示されています。」
「日本排尿機能学会誌:14(2)」

過活動膀胱の主な症状は下記の4つ

  • 尿意切迫……急に起こるがまんできない尿意
  • 昼間頻尿……日中、頻繁にトイレに行く状態(目安8回以上)
  • 切迫性尿失禁……急に尿意が起こり、尿が漏れてしまう症状
  • 夜間頻尿……夜、睡眠中に尿意で目が覚めトイレに行く(目安2回以上)

原因

過活動膀胱の原因は様々です。パーキンソン病、認知症、脊髄損傷、脊髄小脳変性症、脊髄腫瘍、頸椎症、後縦靭帯骨化症、脊柱管狭窄症など神経疾患や前立腺肥大症が過活動膀胱の原因となることがあります。しかし多くは、明らかな原因疾患のない(特発性)といわれるケースです。原因不明とされている「特発性」は、ほとんどが自律神経の不安定から起こります。

自律神経系

身体は、刻々と変化している生体各器官・臓器からの情報が脳に送られ、神経系を介して身体全体器官を常に一定の状態に保つようコントロールされています。

神経系は、間脳から神経細胞のネットワークにより全身の器官に分布して、信号を伝えています。神経細胞は、電気や化学物質により信号を伝え、脳と各器官の情報交換を行っています。

神経系は、中枢神経系と末梢神経系があります。中枢神経は脳と脊髄からなり、情報受信と命令発信の中枢的役割をにないます。末梢神経は脳と脊髄を身体各部に連絡する神経ネットワークであり、体性神経と自律神経があります。体性神経は、自分の意識・意思によって機能します。自律神経は、呼吸、循環、消化等、生命の維持に直接関係する諸器官の機能をコントロールします。自律神経は、意思とは無関係に反射によって働き、休みなく諸器官を調節しています。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2系統からなります。交感神経と副交感神経は、多くの臓器でほぼ反対の作用をもちながら、臓器の機能のバランスをとっています。交感神経は、活動をするための器官を動かし、副交感神経は、休息や睡眠など身体を保持する器官を活動させます。

脳にストレスが蓄積、血液中の老廃物蓄積、栄養のアンバランスなどが起こると、自律神経がバランスをくずし、身体を休ませるべきときにも交感神経が働くようになります。休息時や睡眠時に交感神経が優位になると、消化器、肝臓、腎臓、膵臓など身体の保持器官が十分働くことができません。その状態が長く続くと、疲労が蓄積し臓器の機能が低下し、病的状態が起こってきます。

交感神経と副交感神経の働きのバランスがくずれて、様々な障害が起こる場合を、自律神経失調症といいます。主な原因は、ストレスの蓄積と食事の質の悪さによって発生します。 自律神経のアンバランスにより起こる症状は様々で、内臓や内分泌系の病気をひき起こすこともあります。

安静時の動悸、運動時に心拍数が上がらない 、血圧異常、体温調節の異常、目の乾き、
肩こり、頭痛、頭重感、不眠、全身倦怠感 頻尿、夜尿、冷え、しびれ、生理不順、胃潰瘍、胃痛、腹痛、無気力、集中力低下など様々な症状が現れます。自律神経失調症は、器質的病変がない場合が多いのですが、脊髄、小脳、頚椎の病変や、糖尿病、高血圧・低血圧、脳動脈硬化などが誘因となって起こることもあり、またうつ病や神経症の身体症状として現れる場合もあります。

現代医療の治療法

現代医療における治療としては、(1) 生活改善 (2) 膀胱訓練 (3) 骨盤底筋訓練 (4) 薬物療法 (5) 電気刺激治療などが行われていますが、根本解決にはいたっていません。

自律神経系の自己療法

自分自身で自律神経を改善する効果的な方法として『腹式深呼吸』『指先ツボ指圧』『ストレッチング』『タッピングタッチ』等がありますが、前回の「心と自律神経を整える方法」に解説しましたので参照してください。
今回は、食事療法について述べます。

過活動膀胱を改善する食事 

自律神経系は、食事の内容に大きく左右されます。注意すべきは、自律神経系を乱す食事をできるかぎり摂らないようにします。

特に避けるべき食品は、農薬、化学添加物が多く含まれるもの。精製度の高い、砂糖、小麦粉製品(パン、めん類、菓子など)、清涼飲料(コーラ、ジュース、缶コーヒー、栄養ドリンクなど)等々です。また油が多く含まれるものや輸入果物なども控えるようにします。食事はできるだけ少食にし、よくかんでゆっくり食べることです。

【有効食物】

◇食物には栄養素の他に、身体を改善する有効成分が含まれるものがあります。
『有効食物』を積極的に摂ることによって自律神経が改善されます。

ナツメ、麻の実、発芽玄米、ユリ根、ゴマ、レンコン、シソ、ホウレンソウ、ニラ、ネギ、タマネギ、ワケギ、アサツキ、ラッキョウ、マッシュルーム、黒豆、ゴボウ、カボチャ、ニンジン、ダイコン、コマツナ、サツマイモ、切干大根、金針菜、そば(実)、ヒジキ、ワカメ、メカブ、コンブ、ノリ、アオノリ、アオサ、モズク、フノリ、アラメ、梅干、梅醤、醤油、たまり醤油、豆味噌(赤)、ギンナン、クルミ、松の実、カボチャ種、ヒマワリ種、蓮の実、葛、タンポポ、花粉、ヨモギ、玄麦ハトムギ